2007年ミニ博物館報告

横山 謙二

最終更新日:2007年9月19日



 今年の夏休みは、辻公民館のホールで7月に『身近な自然展』、8月4日(土)にクレッセ静岡で『静岡の自然展』、8月7日(火)〜12日(日)にかけて『静岡科学館る・く・る』の場所をお借りして、ミニ博物館『絶滅のおそれのある動植物』を開催しました。
辻公民館の展示
 まず、『身近な自然展』について報告します。『身近な自然展』は、辻公民館からの展示物借用の要請で行い、展示期間は一ヶ月間行いました。展示物は、静岡市内でごく普通に見られる動植物の写真・説明文のパネル27枚のほか、清水区辻周辺で採取した植物8標本,身近に見られる蝶と甲虫標本の展示と淡水魚の生態展示を行いました。また、NPO自然博ネットの紹介やパンフレット・会報『自然史しずおか』を設置しておきました。

 展示後の見学者の対応や標本・展示物の管理は辻公民館の職員の方にやっていただきました。その為、どのぐらい見学者が来たのかは、よくわかりません。ただ、公民館利用者が展示物を見学しているところは何度か見られ、また設置しておいたパンフレットも減っていたので、公民館利用者の辻地区の住人の方々には、私たちの活動を理解していただき、NPO自然博ネットの存在を知っていただけたのではないかと思います。

 次に、クレッセ静岡で行った『静岡の自然展』について報告します。クレッセは清水区鳥坂のジャンボエンチョーやスーパー田子重などの店が集まる複合型商業施設です。今回は、このクレッセ静岡のイベントとして展示を行いました。展示物は、『身近な自然展』と同じ展示物に加え、サメの歯やアンモナイトの化石の展示、モグラ・コウモリなどの剥製標本などを展示しました。また、化石のレプリカ作製体験コーナーを行いました。レプリカ作製コーナーは人気があり、見学者のほとんどの子供がやっていきました。また、ふだん見慣れないモグラ・コウモリの標本も人気がありました。見学者は、買い物やゲームセンターに遊びに来たついでによった人たちばかりでしたが、それでも300人近くの方が見学しに来てくれました。

  

 最後に、ミニ博物館『絶滅のおそれのある動植物』について報告します。場所は、る・く・る10階のガレージで行いました。展示物は、2005年のミニ博で展示した絶滅危惧種の解説文と写真のパネル54枚のほか、絶滅危惧植物標本を23標本、チョウなどの昆虫標本、両生類・淡水魚・カタツムリなどの生態展示、掛川の化石などの化石標本を展示しました。また、化石発掘体験コーナーを設置しました。見学者は小中学生が中心で、一日あたり740人、6日間合計で4,450人程の人が見学に来てくれました。

 人気展示物は、生態展示や化石標本、昆虫標本などでした。特に、子供たちは、両生類の生態展示に興味を持ち、かわいい・飼ってみたいなどの感想が聞かれました。また、アズマヒキガエルが餌を食べる様子は、大人の人たちでも興味深げに見学していました。昆虫標本の展示では、絶滅危惧のチョウよりも外国産の甲虫が人気で、昆虫でないサソリが一番人気がありました。また、毎年行っています化石発掘体験コーナーは、ものすごい人気で、用意していった化石ブロックは、わずか2日間でなくなってしまいました。

  

 動く・さわれる展示物は人気がありますが、パネル展示は人気がありませんでした。解説文などは、訪れた大人の方でも、読んでいる方はほとんどいませんでした。科学館利用者の子供たちは、写真を見て解説文を読むよりも動画で音声解説の方が慣れているようです。それでも見学しにきてくれた子供たちは、物理系の展示物の多い科学館の中で、自然に関わる標本を見て、触れることにより、わずかかもしれませんが自然史について学び、自然について興味をもってもらえたのではないかと思います。また、つきそいで来られていた保護者の方々には、自然博ネットの活動や県立博物館の必要性について理解していただけたと思います。

 自然博ネット主催のミニ博物館は、2004年からはじめて今年で4回目です。今年のミニ博では、開催のお知らせを会報に掲載しただけで、主な広報は各開催場所施設の方にしていただきました。にもかかわらず、今回のミニ博では、来館者の合計が5,000人近くにもなりました。過去3回のミニ博物館の来館者合計でも1,000人に達しません。今までのミニ博では人を集めるための広報活動にさんざん苦労し、それでも人が集まらなかったことを考えると複雑な思いがします。しかし、多くの方々に展示を見ていただき、NPO自然博ネットの存在を知っていただけたことはうれしく思います。

 以上、今年夏のミニ博物館報告でしたが、このほかに富士山こどもの国から標本貸し出しの依頼があり、7月21日〜9月2日まで昆虫標本を貸し出しています。また、実現はしませんでしたが辻公民館以外の公民館からも展示の依頼がありました。こうした依頼があるということは、県から委託された静岡県自然学習資料保存事業室の存在が知られ始めた結果だと思います。これからも県立自然史博物館まで、こうした依頼を積極的に受け、博物館の役割の一部でも補っていけるよう努力していきたいと思います。


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登録日:2007年9月19日


NPO 静岡県自然史博物館ネットワーク
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