自然観察会の報告
富士山五合目「お中道、宝永火口自然観察会」

足立 京子

最終更新日:2007年9月20日



  

  

 7月23日(日)静岡駅南口から乗用車5台、20人で富士山に向かいました。数日前から不安定な天候で、雨に備えてマイクロバスをキャンセルしての決行でした。幸なことに雨ではなく曇り空。国道1号線の途中で富士山の頂上が晴れているのが見えました。なんて運の良いことでしょう。富士山に近づくとどんどん雲が増えて、霧の中を走りました。新五合目の駐車場に着くと強風が雲を飛ばしてくれていました。現地に集合した5人と合流しました。今回はSBSテレビの取材の方、3人も駐車場から同行しました。28人で宝永火口を目指し出発です。

 今日の講師は、植物は杉野孝雄さん。鳥は三宅隆さん。蝶は、高橋真弓さんと諏訪哲夫さん。地質は、横山謙二さんです。

 歩き初めは、カラマツとラベの合間にトウヒ、ミヤマヤナギ、ミヤマハンノキが見られ、それら樹木の下に平地では見たことが無い小さく赤いイタドリやオンタデ、ミヤマハンショウヅル、フジハタザオ、フジアカショウマ、ツルキンバイ、タカネイバラ、ムラサキモメンヅル、イワオウギ、タカネグンナイフウロ、コイチヤクソウ、ベニバナイチヤクソウ、ハナヒリノキ、コケモモ、ヤマホタルブクロ、ミヤマオトコヨモギ、ヤハズトウヒレン、ミヤマアキノキリンソウ、クルマユリ、マイズルソウなど意外と多くの植物が見られました。高橋真弓さんがフジハタザオに産み付けられたエゾスジグロシロチョウの卵を見つけました。出迎えてくれた鳥は、ウグイス、キクイタダキ、ルリビタキでした。

 登っていくとだんだんカラマツの背が低くなり、植物も単調になっていきました。タヒバリが見られました。視界が開けてくるとアマツバメが悠々と飛んでいる姿を見せてくれました。

 もうすぐ宝永火口。さらにカラマツの背が低くなり、左に曲がると宝永山がそびえていました。これぞ自然の芸術という感じ。大きくえぐられた赤っぽい山肌。ものすごい強風。そこを飛ぶアマツバメはより美しく見えました。ここで昼食を兼ねた休憩です。ここでは、ビンズイが見られました。道端にコタヌキランを見つけました。その他の植物はより背の低いカラマツとオンタデ、イタドリ、イワオウギくらいでした。中でもオンタデの力強さに驚きました。急な砂利の斜面にポツポツと根を張り立派に花を咲かせていました。

 その後、一気に六合目に向かいました。途中でカヤクグリとビンズイを見ることが出来ました。六合目には噂には聞いていたエコトイレがありました。1回200円。少なくとも2人は利用しました。利用した人に感想を聞くと『すっきりしました。』一言でした。この辺りで濃い霧に包まれ、急いで下山しました。

 残念なことに蝶は、飛んでくれませんでした。諏訪さんと高橋先生の提案で富士宮市の大沢という蝶がたくさんいるところへ行くことになりました。どんな蝶が飛んでいるのか? ワクワク向かいました。先頭車両は諏訪さん。蝶のもとへ急ぐ気持ちが伝わる運転に後続の車は、追いつくのに必死でした。着いてみると、知らなければ絶対に入り込めないような草の茂みが少し切れた所が入口でした。ここで雨が降ってきました。入ってみると少し広場があり、ネムノキが花を咲かせていました。その下あたりにジャノメチョウが飛んでいました。奥に進んでいくと道は狭くなりホソバセセリが数頭飛んでいました。ナナフシもいました。蝶は3種でした。昔はたくさんいたそうです。帰り道、ササゴイのコロニーがあるとの情報の元に清水区の清見潟公園に寄りました。ササゴイは5羽。コロニーがある木の下に薄緑色の卵の殻が数個落ちていました。

 一日でたくさんの生物の観察会が出来るのは、自然博ネットの一番いいところではないでしょうか。スパシャルな一日でした。

 8月1日、SBSテレビ『テレビ夕刊』で宝永火口観察会の様子は放映されました。


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登録日:2007年9月20日


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