浜名湖花博で作成された植物標本の紹介

杉野 孝雄

最終更新日:2007年9月20日



 「浜名湖花博出展植物保存事業」で作成された、植物標本4,510点の中から特徴的な種類を紹介します。

変化アサガオ  ヒルガオ科
 江戸時代、メンデルの法則発見の100年も前に、遺伝の原理を応用して、日本で独自に作出されたアサガオです。「青斑入蝉葉木立青鳩丸咲」など、特有の名前のつけ方も興味をひきます。15種類を標本にしました。

バイオコスモス キク科
 チョコレートコスモスの栽培しにくい難点を克服するため、千葉大学園芸学部でチョコレートコスモスとキバナコスモスから、バイオテクノロジーを使い作出されました。コスモスは12種類を標本にしました。

アメリカフヨウ 大紅 アオイ科
 アメリカフヨウとモミジアオイの交雑種で、15年の歳月を費やして作出されました。花は直径30cm以上あり、標本にすると新聞紙の幅からはみ出しました。ハイビスカスはいろいろな種類を28種類標本にしました。

バオパブ パンヤ科
 バオパブ属には9種類あり、ほとんどはアフリカ、マダガスカルに分布しています。花博で植えられたのは、オーストラリアにあるグレゴリー種で、日本では始めて8月14日20時24分に開花しました。それを標本にしました。

バンクシア ヤマモガシ科
 この仲間には熱せられると、果実が割れて種子を散布する種類もあります。オーストラリアの山火事の多い環境に適応した植物です。オーストラリアの植物は、バンクシア、グレビレアなど50種類ほどを標本にしました。

チャボイランイランノキ バンレイシ科
 花は緑色から黄色に変化します。高価で有名な香水の原料です。花に催淫作用があり、インドネシアでは新婚のペットに花びらを撒くといいます。標本にすると黒色になり、花や葉はばらばらになってしまいました。

カシワバアジサイ ユキノシタ科
 北アメリカ原産のアジサイで、日本には最近導入されました。花は白色で円錐形にまとまって多数つきます。葉は卵形で浅く5裂し、その形から柏葉アジサイと名付けられました。アジサイは12種類を標本にしました。

クリンホシダ ヒメシダ科
 遠州地方で発見された、ホシダの突然変異で生じたシダです。葉の先が塔の露盤上にある、装飾の九輪に似ているので名付けられました。故志村義雄先生が栽培されていたのを増殖したものです。シダは82種類を標本にしました。

 以下の植物標本の説明は簡単にします。

セッカンスギ スギ科 雪冠杉 春の新芽が黄白色になる。
イヌマキ星流 マキ科 下向きに枝が垂れるイヌマキ。
ヤエザキクサギ クマツヅラ科 八重咲きのクサギ。
ゲンペイクサギ クマツヅラ科 花は赤色で蕚は白色。
カレープラント キク科 標本にしてもカレーの香りが残る。
チェリーコスモス キク科 八重咲きのコスモス。
ルドべキア ラキニアタ キク科  原種は日本に帰化している。
アカバワタ アオイ科 全体が銅赤色のワタ。
ホザキノトケイソウ トケイソウ科 赤色の花を房状につける。
セリ フラミンゴ セリ科 共に白色や赤色の美しい斑が入る。
ムラサキミツパ セリ科 全体が赤紫色のミツバ。
パラ ブルーヘブン バラ科 花は藤色、青いバラの1つ。
シグレグワ クワ科 下向きに枝が垂れるクワ。
ジャカランダ ノウゼンカズラ科  熱帯の三大花木の1つ。
アリオギネ ハケイフォリア アオイ科 ブルーハイビスカスに似るが葉は線形。
ゴシキドクダミ ドクダミ科 葉に白色や赤色の美しい斑が入る。
ニコティアナ ライムグリーンナス科 緑色の花が咲くハナタバコ。
カリブラコア プッチニア ナス科 径5mmの世界最小の花をつけるペツニア。
ペツニア ファイアーチーフ ナス科 世界で初めてのペツニアの赤色品種。
ヨウラクホオズキ ナス科 果実が瓔珞(ヨウラク)に似る。
ケムリノ キヤングレディー ウルシ科 花の塊が煙のように見える。
ヒゴロモコンロンカ アカネ科 大きな蕚が真赤で美しい。
イポメア バタタス ヒルガオ科 葉を鑑賞するサツマイモ。
サザンクロス ピンクスター ミカン科 星形の桃色の花が咲く。
ダルシヤンピア トウダイグサ科 二枚の大形の総苞が目立つ。
アメリカアジサイ ユキノシタ科  小形の装飾花が密につく。
ゴジカ アオギリ科 午時花。 赤色の花が午後に咲く。
ペニセタム ルブルム イネ科 全体が紫色になるチカラシバ。
ブラジルシシガシラ シシガシラ科 胞子嚢群が葉の裏面に線状につくシダ。
ナチシダ イノモトソウ科 実の幅1m以上になる大形のシダ。


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登録日:2007年9月20日


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