自然観察会報告
親子・こどもの国・地底わくわく探険
―富士山こどもの国を利用した一般募集の普及活動

篠ヶ瀬 卓二


最終更新日:2005年9月25日


富士山こどもの国 勢子辻風穴の入口で説明
地底探検 昆虫の観察会

  雲一つない富士山がくっきりと見える朝を迎えました。一年中でこんな天気の日は珍しい10月17日(日)、親子・こどもの国・地底わくわく探検を実施しました。

 9時30分受付開始でしたが、待ちきれない親子が9時の時点ですでに10組程度は駐車場にいました。

 我々の行事は、静岡県及び静岡県教育委員会の後援をいただき、県内駿東郡小山町・清水町・長泉町・裾野市・御殿場市・富士市・富士宮市・富士郡芝川町の小学校児童を対象に案内を配りました。希望者が殺到し、9月始めに発送してからわずか3日で予定人数に達してしまった。中には配るのが遅かった学校の児童には参加の機会が与えられなかったかもしれないと懸念しています。

 20数名のスタッフがそろって受付前の挨拶を簡単に済ませ、それぞれの配置につき仕事を開始しました。こどもの国のみなさまからのご支援で長テーブル・いすを用意させていただき、用意していただいたきれいに仕上がった立看板もしつらえ受付開始。今回のイベントには、常葉富士大学に特別ご協力をいただき10名の方にスタッフに加わっていただきました。女子学生には受付をお願いし、男子学生には、行事運営のアシストをお願いしました。約120名を四つのグループにわけ黄色いリボンで会員証の目じるしとしました。

 我々穴もぐりのグループは、学生と一緒にまずローソクたての準備。あらかじめ事務局で準備していただいた約30本のローソクを立てると東西35m・高さ4mの洞内は見事に明るくなった。

 10時からの開会予定でしたが、天気も快晴参加者もスタッフもやる気まんまん。すこし速めに三宅さんの司会ではじまりました。会場は、受付を済ませて集まったこどもセンター2階の研修室。スタッフの紹介と実施された経緯を紹介しました。

 今回は「こどもの国」開園5周年を記念してNPO自然博ネット主催の一般公募の行事として行われたわけです。

 午前中は大きく2つに分けて行動いたしました。ひとつのグループは、「富士山の生い立ち」を学ぶグループ。もうひとつは、「勢子辻風穴」にもぐるグループ。約1時間で交替していただきました。

 風穴は「こどもの国」から一旦出て、南の駐車場の中にあります。思い出すと今から10年近く前に、「こどもの国」の造成中に発見されました。この風穴のできている勢子辻溶岩には、これまで溶岩樹型や溶岩トンネルは見つかっていなかったのです。今年のはじめに亡くなられた洞穴研究の権威・小川孝徳さんと調査に入ったのをつい昨日のように思い出します。この近くで発見された天然木炭の放射性炭素の測定から6,200年前の噴火でてきていたこともはっきりしてきました。

 さて、1回の穴巡りは30人程度、入口付近の天井の溶岩が薄くなっているので、天井の上には近づけないようにして、親がまずはしごを確かめながら、子どもさんの下りるのをサポートしていただいて慎重に4m下の穴の中へもぐりました。穴の中は静かで何か浮世と離れた別世界…。穴の中では集中して行動させるためにお喋り禁止。約20分程度の穴巡り。5歳のお子さんも参加されたのには驚きましたが、4グループとも無事探険終了。ヘルメットか帽子で、天井から垂れ下がっている溶岩鍾乳石に頭をぶつけたり、足場の悪い凹凸の激しい床面で転倒したりしないように保護していましたが、怪我も無く無事終了できたことをうれしく思います。

 ローソクを片付け、穴から脱出。外の光の明るさにくらくらした感じがしました。鍵を閉めたとき、この扉が開かれるのはいつになることやら…とつまらないことを考えてしまいました。

 午前中の研修室の富士山講座も終わり昼食をスタッフの皆さんと研修室でとりました。午後は自然観察に朝と同じように4グループに分かれて「水の国」の湿性の森付近で、野鳥・昆虫・植物の観察会が開かれました。ひとつだけグループがあまってしまったので、ちょっと待っていただき、それぞれが順々にまわっていく方式をとりました。

 「こどもの国」にやってくる野鳥をわかりやすく解説してくれました。まわりに樹木がたくさんありましたので、多分、春の愛鳥週間には小鳥の数も多く小鳥の鳴き声も聞かれるのではないかと思いました。
 ちょうちょや昆虫の話も興味のあるところでした。きっと春から夏にかけての頃にはこの湿性の森の周辺にも昆虫たちが押し寄せてくるのではないかと思いました。

 草花に白い名前を記した立て札が立っていました。事前に調べて立ててくれてありました。植物にはどんな種類があって、今どんな植物が咲いているかのお話をいただき、じかに近づいて観察することができました。

 また、池の中の水生昆虫も見せていただきました。トンボのヤゴなど家の周りで失われつつある自然を見せていただいたような気がしました。

 予定通り3時頃に研修室に戻り終了式。日程を終えて外へ出て、振返って見たら雲のない富士山がわらつているような姿を見せてくれていました。

 思えば、この行事にあたってくれた地質の山本さん、植物の尾上・鈴木さん、昆虫の清さん、野鳥の三宅さん、会計の柴さん、アシストしていただいた事務局の方々・静大の学生さん・常葉富士大学の佐野貴司先生をはじめとする学生さん・こどもの国の職員の皆さん…多くの協力のもと楽しい1日を過ごせたことをうれしく思います。

10月9日台風の日の午前中に最後の打合せをやりましたが、参加者の方々のねぎらいの言葉を聞いてスーと力が抜けるような気がしました。

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登録日:2005年9月25日


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