施設見学と自然観察会報告

奇石博物館と富士山東臼塚

横山 謙二


最終更新日:2004年6月25日



大沢スコリアの下位の火砕流堆積物の露頭(黒く見える部分)

  5月30日(日)、富士宮の奇石博物館の見学と富士山東臼塚周辺の自然観察会が行われました。今回は特に、博物館と周辺の富士山火山噴出物などについて、山本玄珠氏と奇石博物館の北垣俊明学芸員に案内をいただきました。

 当日は雨天の心配がありましたが、午前・午後ともにほとんど雨に降られることもなく、むしろ午前中については、汗ばむほどの暖かい陽気にめぐまれました。

 自然観察会では、予定を変更して午前中に東臼塚付近に分布する日本ランド溶岩、小天狗溶岩、東臼塚溶岩を観察しました。東臼塚溶岩には、直径60cm以上、深さ1mほどの空洞がいくつも見られました。これは、東臼塚溶岩流によって燃やされた木の跡だそうです。この木の跡は、この付近では、700以上も分布しているそうで、この溶岩流の流出による被害をうかがわせます。

案内者の山本さんと北垣さん(中央のふたり) 溶岩によって焼かれた樹木の跡
露頭を見学している参加者 火砕流堆積物中に見られる炭化木

 午後は、大沢付近に分布する火山の噴出物の観察と奇石博物館の見学を行いました。

 大沢付近に分布する火山噴出物の観察では、大沢スコリアの下位にみられる火砕流堆積物を観察しました。この火砕流堆積物中には、火砕流によって燃やされた森林の炭化した立木が観察できました。こうした、火砕流中で、立木のままで、地層中に保存されているのは、とても珍しいそうです。

 今回の自然観察会では、静岡県および日本の象徴的な富士山は、一見不変的なものと思われていますが、実際には寄生火山の噴火や火砕流の発生を繰り返し、いつまた噴火するかわからない、生きている火山であることを実感させられました。富士山だけではありませんが、火山噴火発生時の被害の予測や予防を行うにあたり、こうした溶岩流や火砕流・泥流に関する調査が重要であると感じました。また、研究や普及活動のために、こうした溶岩流や火砕流におそわれた古森林の保存の必要性も感じました。

 自然観察会後、奇石博物館の館内見学を行いました。奇石博物館は、多くの自然史博物館で見られるような、地史や岩石の分類学にそった展示にはこだわらず、展示ケースごとに伝説や人のコレクションなどのテーマにそった展示解説が行われていました。展示物は、ほとんどが実物標本で、学芸員によって集められてきたものも利用されていました。また、月ごと週ごとに展示物を変えるコーナーもあり、何度来ても楽しめるように工夫されていました。

 奇石博物館は、博物館の名前どおり、奇妙な石・奇跡的な石があり、石と言うものを多方面で観察できる面白い博物館でした。最後に、この博物館のおすすめのお土産は、オリジナルトイレット・ペーパーです。このトイレット・ペーパーは、地球の歴史の46億年が46メートルにわたって描かれています。使用するのがもったいないように思われますが、使用するごとに地球の歴史が勉強できるようになっているユニークなミュージーアム・グッズでした。


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登録日:2004年6月25日


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