静岡県の鳥(2)
コアジサシ

文 三宅 隆・写真 飯塚久志

最終更新日:2004年1月2日


コアジサシ
 
 「キリッ、キリッ」と鳴きながら、水辺の上をひらひら飛んでいたかと思うと、突然空中でホバリング(空中停止飛行)し、水中にむかってダイビング。嘴に小魚を捕まえては飛んでいく、白っぽくて翼と尾の長いスマートな鳥。それがコアジサシです。

 コアジサシは、チドリ目、カモメ科に属する全長22―28cm、翼開長50cm位のムクドリ大の鳥です。夏鳥として、4月下旬ころ渡来し、海岸、河口、河川、池、湖、水田などで見られます。県内では比較的普通に見られますが、西部で多く、伊豆ではあまり見られません。富士川河口、田子の浦港、大井川河口、天竜川下流一帯の中洲、御前崎から新居町にかけての遠州灘海岸一帯に分散して繁殖しています。

 コアジサシの巣は、砂礫で覆われている河原や海の砂浜へ、少しのくぼみをつくってその上に平均2個の卵を産みます。夏の暑い日は、親鳥は体に水をつけてかえって卵を冷やすようにして抱いています。孵ったひなは、周りの石と同じような色と形をしており、保護色となっており、外敵から見つからないようになっています。

 さて、このコアジサシ、国のレッドデーターブックでは希少種に指定されており、環境庁による定点調査では、1993年と1994年は、天竜川下流のコアジサシの営巣数は全国一だったのですが、それ以降県内の繁殖率は極端に減少しています。これらの原因としては、ダム建設による河川中州の貧弱化や中洲での植物繁茂がまず考えられます。さらに河口や砂浜へのオフロード車乗り入れや、水上バイクなどのレジャー圧も無視できません。コアジサシは繁殖環境が限定されるため、人為的外圧に加え、自然現象ではありますが、大雨による増水により、せっかく産んだ卵や雛が流されコロニーが全滅することも最近頻繁に起こっていますし、また、カラスの襲撃による卵や雛の被害も目立ってきました。

 天竜川や富士川河口では、このコアジサシを守ろうと、野鳥の会の会員たちが、河原の草を抜いて繁殖しやすい環境を作ったり、繁殖地をロープで囲って安心して繁殖できるような活動をしています。

 コアジサシが安心して雛を育てる環境を確保してあげること。せめて人為的な外圧だけでも取り除く責任が、我々にはあると思うのですが。


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登録日:2004年1月2日


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