寺田 徹「駿河湾の貝」展

発行:2001/12/09


 平成13年11月9日(金)〜11月14日(水)の6日間、アゴラ静岡しずぎんギャラリー四季(静岡銀行呉服町支店ビル7階)において、寺田 徹「駿河湾の貝」展が催されました。主催者は、駿河湾の貝展実行委員会と静岡県立自然史博物館設立推進協議会で、後援は静岡県、静岡市、静岡ガス、静岡朝日テレビ、中央防犯、静岡ガスエネルギー、静岡朝日テレビカルチャーでした。展示会には、約500名の方が見学にこられ、最終日には副知事もみえられました。

 展示会場のようすは口絵に掲載いたしました。また、会場では寺田さんの採集の随筆などが掲載された「貝に魅せられて」という冊子が配布されていましたが、その「はじめに」にあたる文章を一部抜粋して、掲載させていただきます。


寺田 徹「駿河湾の貝」展に寄せて

寺田朝子
 この展覧会は、故寺田 徹が、駿河湾をフィールドに、1975年から25年にわたり採集した膨大な貝の標本を基に、駿河湾に生息する貝類を紹介するもので、貝の種類、成長に伴う形態変化、生態の違いによる形態変化等々、多様な視点から駿河湾の貝を考察しています。

 彼が生前に収集した駿河湾の貝類は約3,000種。個体数で言えば、数万点にものぼりますが、採集を続けた25年の間にも、海岸の護岸工事などのために採集場所は著しく減少し、今では入手することが困難になった種も少なくないと聞いています。また、駿河湾を「貝」という指標でとらえた資料も、昭和18年(1943年)に大山 桂氏によって報告された大山レポート以来出されておらず、まとまった個体標本も保存されていないということで、本コレクションが恐らく唯一の資料であろうと思われます。

 残念なことに、寺田 徹は、2000年10月肺ガンのため急逝しましたが、彼が生前関係しておりました、静岡ガス、静岡朝日テレビ、中央防犯、静岡ガスエネルギー、静岡朝日テレビカルチャー等、多くの企業と友人が、この展示を企画してくれました。また、標本調査、展示につきましては、東海大学と静岡大学の研究者のご協力を頂きました。

 この展示を機に、海の昆虫と言われる貝類の多様さ豊かさを、一人でも多くの方にご覧頂き、静岡県の財産である駿河湾により一層の親しみを持つ機会にしていただけたら幸いと思います。また、「寺田 徹・駿河湾の貝コレクション」が、駿河湾の20世紀を語る貴重な資料として、末永く保存され活用されることを願っております。


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登録日:2001年12月9日